原寛美・吉尾雅春(編):脳卒中理学療法の理論と技術 改訂第2版. 株式会社メジカルビュー.P317. 年.2016.
医療情報科学研究所(編):病気が見えるVol.7 第1版. 株式会社メディックメディア.P457. 年.2013.
健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/ishiki-shogai.html(2022年5月30日時点)
本日の疑問
赤茄子です。
脳卒中では、意識レベルが低い患者を担当することが多いです。そういう時はとりあえず立たせています。経験則で、目覚めそうかなーと。
…だめですね。きちんとメカニズムを理解して臨床に反映させていきたいです。
なぜ起立させると覚醒しやすくなるのでしょうか?
意識とは覚醒と認知の複合体である
一言に意識障害といっても、目覚めないタイプの意識障害や目覚めているのにぽけ~っとしているタイプの意識障害があります。前者は覚醒が問題であり、後者は覚醒は問題ないが認知が問題となります。
覚醒は上行性網様体賦活系、認知は大脳皮質
荷重刺激など、脊髄視床路に刺激が入ると上行性網様体賦活系(刺激~網様体~視床内側核)が活動し、皮質を覚醒させます。皮質は覚醒されることで認知機能を果たします。
なぜ起立させるのか?
上記の図から、網様体・視床・大脳皮質のいずれかが障害を受けると意識障害が生じることがわかります。
この中でも、大脳皮質の部分的な障害では覚醒は保たれると考えられるため、立たせるメリットは少ないでしょう(大脳皮質全体が障害を受けてたり、実際に覚醒が低下していたら別ですが…)。
視床や脳幹が障害を受けた場合は覚醒が低下する可能性が高いため、立たせたほうがいいのではないでしょうか。
また、脳卒中発症後は臥床傾向になります。
臥床により荷重刺激が入らないため、廃用性の覚醒低下が生じる可能性もあります。そういった場合も積極的に立たせたほうがいいでしょう。
本日のまとめ
- 意識は覚醒と認知の複合身体である
- 皮質は覚醒することで認知機能の役割を果たす
- 視床や脳幹が障害を受けると覚醒が低下する可能性がある
- 荷重刺激が脊髄視床路に入力されると上行性網様体賦活系が働き、覚醒を促す
最近、患者家族から「意識と覚醒って何が違うの?」と聞かれ、上手に答えられませんでした。
覚醒はしてたんですけど、認知機能は全く働いていませんでしたね。
赤茄子