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リハビリはどの時期に?運動麻痺回復のステージ理論 [脳リハの基礎 Vol.2]

原寛美:脳卒中運動麻痺回復可塑性理論とステージ理論に依拠したリハビリテーション. 脳神経外科ジャーナル. 21(7).P516-526. 2012.

 

赤茄子です。

前回の記事からの続きになります。(↓前回の記事)

aka-nasu.hatenablog.com

 

麻痺肢を使用し、障害領域の可塑を促していくことが大事だとお話しました。

ところで、この "可塑を促す" というのはいつ行っても効果的なのでしょうか?

 

ピークは発症後3ヶ月まで。長くても6ヶ月。

今回のkey wordは "運動麻痺回復のステージ理論" です。この理論では、運動麻痺の回復に関わるメカニズムを3つの時期で分類して示しています。

 

《1st stage recovery》

これは障害をうけた領域(皮質脊髄路)と同類で残存している領域の興奮性が刺激されやすい状態から徐々に刺激を受けにくい状態に移行する段階であり、発症~3ヶ月間と言われています。

例えば、下肢領域の皮質脊髄路一部が損傷を受け、運動麻痺が生じたとします。ところが他にも下肢領域の皮質脊髄路が残存しており、上記の興奮しやすい時期で残存領域の興奮を高めるリハビリを行えば、運動麻痺の回復は完結します。

ところが、臨床の多くでは限局された脳卒中よりも広範囲のものが多いですよね。したがって残存領域が少なく、1st stageだけでは回復する例は少ないんじゃないでしょうか。

 

《2nd stage recovery》

1st stageでは残存皮質脊髄路の興奮に依拠していましたが、2nd stageでは皮質ネットワークの再組織化、つまりは "可塑性が生じる" 時期になります。ここは前回の内容になりますので省きますが、要するに障害部位の代替が生じます。この時期は発症から3ヶ月をピークに、最大6ヶ月続くとされています。また、リハビリの行い方によっては、"好ましくない可塑性" が形成される時期でもあるので、より精巧なプログラムを立てる必要があります(例えば、指だけを訓練したいのに肘・肩を過使用した動作練習となり、肘・肩領域が拡大してしまう…とか)。

 

《3rd stage recovery》

2nd stageで再構築された代替のネットワークのシナプス伝達が効率化され、確立される時期になります。可塑により新しく代替となったネットワークにおいて、はじめのうちは反応が遅かったけど、徐々に反応が早くなり効率的になるという感じでしょうか。

 

本日の結論

最初に可塑性についてお話したため、2nd・3rd stageに注目しがちですが、残存している皮質脊髄路を興奮させることが大事になります。まぁ、1st・2ndともに障害領域の運動を行うことは皮質脊髄路の興奮および可塑を促す行為になるので、早期に麻痺側を使っていきましょうという結論になるのではないでしょうか。

 

 

可塑性の話に戻るのですが、どれくらい訓練を行えばいいのでしょうか?

赤茄子

 

次の話(↓)

aka-nasu.hatenablog.com