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人工呼吸器による弊害?換気血流不均衡になる理由。

本日の疑問点

自分の担当ではありませんが、人工呼吸器のウィーニング(離脱)に成功した方がいます。ウィーニングに至る患者は少ないそうで、当院でも聞いた限りでは1~2件程度しか成功していないそうな…

ウィーニングが困難となる原因の一つとして、人工呼吸誘発性横隔膜機能不全が報告されています。これは、人工呼吸器の使用により横隔膜が筋力低下から麻痺麻痺まで様々な程度に障害するもの1)になります。勝手に換気されるから使わない横隔膜が廃用するということですね。

この横隔膜の機能不全と人工呼吸器の陽圧換気により、換気血流不均衡が生じ低酸素血症になりやすくなります。換気血流不均衡とは肺に流入する酸素量と肺に接触している血管の血流量の比が拡大することです。これによりウィーニングが困難になると考えられます。なぜ換気血流不均衡に至るのでしょうか?

1) 讃井將満:特集 呼吸器離脱,6mL/kgとSBTの間には. INTENSIVIST 特集:呼吸器離脱,4(4), P844-848, 2012.

生理的な自発呼吸と非生理的な陽圧換気

自発呼吸

自発呼吸で(安静)吸気を行う時、横隔膜と外肋間筋が働くことで肺が拡張します。これを生理的な呼吸と言います。仰臥位における生理的な呼吸では内蔵が重力の影響で背側に落ち込むため、内臓が背部の胸腔を狭めている状態となります。この状態から横隔膜が収縮すると背側の胸腔、しいては肺を膨らましやすくするため、換気量は腹側より背側の肺の方が多いと言えます。

一方、肺胞に接触している血管の血流量は重力の影響を受けます。つまり、仰臥位では腹側より背側の肺の血流量が多いということになります。

そのため、腹側は換気量少/血流量少背側は換気量多/血流量多、となるため換気血流比は同程度になります。

人工呼吸器による陽圧換気

人工呼吸器で陽圧換気が行われている場合(主として調節換気)、横隔膜が機能しなくても、肺が膨らみます。そのため非生理的な呼吸となります。非生理的な呼吸は生理的な呼吸と比較して膨らみ方に特徴があります。背側は臓器によって胸腔が狭められているにも関わらず横隔膜が収縮しないため、人工呼吸器により空気が流入されても拡大しません。代わりに空気は腹側に流入しやすくなります。

一方、血流量は依然重力の影響を受けるため、仰臥位では腹側より背側の肺の血流量が多いということになります。

そのため、腹側は換気量多/血流量少背側は換気量少/血流量多、となるため換気血流不均衡が生じます。酸素はたくさんあるのに流してくれる血流が少ない、血流は多いのに酸素が少ないという状態になるため、総して血中酸素量が減少します。

ウィーニングの開始基準

そもそも、ウィーニングの開始基準は以下になります。

難しい用語が飛び交ってますね。また機会があれば説明していきたいと思います。

注目していただきたいのが酸素化能力です。換気血流不均衡では低酸素状態になるため、酸素化能力は低下し、ウィーニング基準を満たしません。また、横隔膜の機能低下が生じているため、そもそも換気予備能力も低下してしまいます。

療法士は何をすべきか?

基本的にウィーニング判断は医師が行います。機器の操作も医師がします。その間、療法士は関節可動域運動に努めているだけ…でいいのでしょうか?ちがいますよね。この換気血流不均衡を改善し少しでも早くウィーニングできるように援助していくのが我々の役割だと思います。

ポジショニング考慮する

基本的に、人工呼吸器使用中は仰臥位になります。この姿勢が持続することで換気血流不均衡が生じてしまいます。そのため、時折違うポジションをとることで換気と血流の再配分を行う2)必要があります。

2) 千住秀明・朝井政治:特集 人工呼吸患者の呼吸理学療法. 人工呼吸, 28(1) , P2-7, 2011. 

 

人工呼吸器装着中は体位変換を行うのは一人では難しいです。他スタッフの協力を得て換気血流不均衡の改善に努められるといいですね。

赤茄子