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予測と結果にズレがある。呼吸困難発生のメカニズム

西野卓 :呼吸困難の発生メカニズム. Jpn J Rehabil Med. 54. P936-940. 2017.

 

COPD患者の多くは呼吸困難を感じることがあります。動くと呼吸が苦しくなるから動きたくない…活動量は低下しADLが低下します。リハビリをする上でも、この"呼吸困難感"を解決しなければなりませんし、メカニズムを知っておくことがその近道だと考えています。

 

司令よりも結果が不足。中枢-末梢ミスマッチ説

現在最も有力な説とされているのが"中枢-末梢ミスマッチ説(出力-再入力ミスマッチ説)になります。

CO2が多い、O2が少ないと換気(吸気)が促進されます。自覚できるものではなく、呼吸中枢である延髄が呼吸関連器に司令を出します(たくさん吸え!)。ところが、呼吸器疾患の患者(特にCOPD)は肺が拡張しにくい、横隔膜が機能しにくい、胸郭が拡張しにくいなど結果的に実際の換気量は少ない(たくさん吸えって司令きたけど実際は60%くらいだったよ…)。この実際の換気に関わった末梢神経受容感覚は最終的に大脳皮質の感覚受容野に伝達されます。

一方、延髄から出た司令は呼吸関連器だけでなく、同じ情報(コピー)が同時に大脳皮質の感覚受容野に伝達されます。このコピー情報(たくさん吸え!)と呼吸関連器の受容感覚(60%くらいだったよ…)の剥離(足りない・もっと吸いたい!)が呼吸困難感の正体だと説明しています。

 

呼吸困難感を解決するためには、呼吸関連器で可変可能な部分にアプローチすることが大事になりそうですね(胸郭の可動性、横隔膜の柔軟性改善とか)。

 

余談

運動学習は"実際の運動感覚"と"運動出力の遠心性コピー"との剥離を小脳で感知して修正しようとしますよね。呼吸困難は苦しいかもしれませんけど、運動を続ければ横隔膜とかの機能は改善したりするのでしょうか?