DeAnna L Adkins, et al : Motor training induces experience-specific patterns of plasticity across motor cortex and spinal cord. J Appl Physiol ,101(6), P1776-1782, 2006.
簡単な課題訓練では、運動野のマッピングは変化しない=可塑的変化が生じないと前回の記事でお伝えいたしました(↓前回の記事)
これまで、可塑的変化が生じる⇨運動スキルが向上するとイメージしていましたが、課題の難易度が運動野のマッピング変化に影響をもたらす場合、順序は逆なのかもしれません…実際どうなのでしょうか?
運動スキルと運動野の3つの要素
運動スキルの変化に関して、運動野のタンパク質合成、シナプス形成、マップの再編成(可塑的変化)の3つの関連が多く報告(動物実験)されています。そして報告をまとめると上記のグラフのような関係になるそうです。
まず、運動スキルの習熟、シナプス形成、マップの再編成のすべてにおいて運動野におけるタンパク質合成の増加必要になります。このタンパク質が何であるかは確定していませんが、脳由来神経栄養因子(BDNF)が関与していると考えられています。
次に、運動スキルが向上し始めますが、この時点ではシナプス形成やマップの再編成は不十分です。しかし、運動スキルがさらに習熟していくとシナプス形成向上、マップの再編成向上と進行していきます。つまり、運動野の可塑的変化は運動学習に依存して生じていると考えられました。
本日の結論
運動スキルが向上する⇨運動野の可塑的変化が生じる。
図を参考に考えると、3日で運動スキルが向上しても10日は訓練を継続しなければならないかもしれませんね(ただし動物実験のため、人間に相当するかは不明)…
ここまでの話をまとめると、脳卒中が発症してから3ヶ月を目処に、機能低下している部位に対し少し難しめの課題をたくさん行い、スキルが上がってきても長めに訓練することが大事となります(あってる?)
ところがそんなにうまくリハビリが進むことはありません。可塑を邪魔する要素が出てきます。その邪魔者ってどんなものなのでしょうか?
赤茄子
次の話↓